日本には古代より「虫の音」を風流だと感じる文化があり、人の気持ちや情緒を重ねた文献も数多く見られます。でも虫の鳴き声を「声」と感じるのは、日本人とポリネシア人だけという最新の研究結果があるのです。
人間の脳は右脳・左脳それぞれに特異性があり、音だけに特化して定義すると、右脳は感覚脳と言われ、音楽や機械音、雑音を処理し、左脳は理論脳と呼ばれ、人の話す声や言語に関する理解など、理知的なパートを担います。
この脳の使い方は日本人やポリネシア人、欧米人やアフリカ人など全人類同じですが、「虫の音」を左右どちらの脳で聞くかという点で違いがあります。
欧米人は「虫の音」を機械音や雑音と同じく右脳・感覚脳で処理するのに対し、日本人は左脳・理論脳で聞きます。つまり日本人は「虫の音」を「虫の声」として聞いていることになります。
要するに欧米人は、様々な場面で自然界から聞こえてくる「虫の音」も、いつもの騒々しいノイズだと感じていれば、何ら意識せずに生活し聞いていることになります。
しかし、日本人・ポリネシア人は「虫の音」を人の声と同様に左脳・理論脳で聞いているので、雑音として聞き流すことはできません。意味を感じてしまうのです。
その理由は言語の特徴にあります。日本語とポリネシア語は母音を中心とした言語であり、他の多くの言語は子音中心です。
日本人・ポリネシア人は母音/子音の両方とも左脳で処理し、他の言語圏の人は母音を右脳で受け止めてから子音を左脳で処理します。
ですので、母音に近い自然音である「虫の音」も、言語として左脳で感じるようになったのです。同じように「波」「風」「雨の音」「小川のせせらぎ」など、様々な自然音も日本人は左脳で聞いています。このような特徴は、世界でも日本人とポリネシア人だけに見られ、お隣の韓国や中国人は西洋型(右脳)です。
この「虫の音」を日本人が左脳で処理し、西洋人は右脳でノイズとして処理していることは、そもそも文化の違いにも関係しています。西洋人は、虫=害という感覚があり、その鳴く音も雑音・ノイズだと感じてしまいます。
日本人は、「虫の声」を聞いて季節や情緒を感じる文化を子供の頃から持っているので、「虫の声」を人の声と同等に左脳で感じる文化の下地があるのです。
日本人とポリネシア人だけが「虫の声」を聞いているって言われても日本人からするとちょっと不思議な感じですが、セミの声で夏を、スズムシの声に癒され秋を感じることができる日本人の情緒をこれからも大切にしていきたいですね!
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